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1. はじめに~この歳で弓道?と思っていた私~
私は若い頃から弓道に憧れがあり、学生時代に弓道サークルに所属したことがありました。
しかし、当時は指導者がおらず、ほとんど教えてもらえないまま、道着と弽を購入し、射法八節のプリントとゴム弓だけを渡され、ほぼ放置されてしまいました。
結局、何をどうすればよいのかもわからないまま、次第にサークルから足が遠のいてしまった苦い経験があります。
それでも、購入した道着と弽はずっと手元に残してあり、どこかで「いつかまたやってみたい」という思いを抱えたままでした。
そんな折、仕事の関係で弓道を続けている社会人の方とご一緒する機会があり、「今からでも遅くないよ」と声をかけていただき、弓道初心者教室を紹介してもらうことになったのです。
2. 年齢の不安と、教室で見た「意外な景色」
弓道初心者教室で一番心配だったことは、自分の年齢です。
初心者教室なんて、きっと学生や若い人が受講するものだろう——そう思い込んでいました。
「もし自分だけおじさんだったらどうしよう」と、正直かなり不安でした。
ところが、いざ教室が始まってみると、そんな心配は杞憂に終わりました。
参加者の年齢層は実に幅広く、10代の学生から70代の方まで。むしろ私と同じ40代くらいの方が一番多かったくらいです。男女比も半々くらいでした。
初日こそ皆さん少し緊張した様子でしたが、すぐに和やかな空気になり、休憩中に自然と会話も生まれるようになりました。
「興味はあったけど、なかなか踏み出せなくて……」
そんな話をする人が多くて、「自分だけじゃなかった」とホッとしたのを覚えています。
年齢も体格も経験もバラバラなのに、みんな同じ「ゼロからのスタート」。
それが、かえって居心地の良さを生んでいたように感じます。
この教室は、「やってみたい」と思ったその瞬間から、誰でも受け入れてくれる場所でした。
3. 弓道初心者教室で学んだこと
弓道を学ぶことで「集中力がつく」「精神的に落ち着く」など、よく言われます。
でも、初心者教室で私が最初に感じたのは、**とにかく大変だ!**ということでした。
教室では、弓具の扱い方や体配(たいはい)と呼ばれる動作の稽古が中心でした。
弓を引く前の所作、歩き方、立ち方、礼の仕方——すべてが独特で、最初は戸惑うことばかり。
特に印象的だったのは、見た目以上に身体の動きが細かく、神経を使うこと。普段意識していない筋肉も使うため、稽古の翌日はしっかり筋肉痛になりました。
実際に弓を手に取って稽古ができたのは後半になってからで、巻藁(まきわら)に向かって弓を引くのも、ほんのわずか。
「弓道=矢を放つスポーツ」というイメージを持っていた私には、最初は少し物足りなさもありました。
けれど、弓を引くための準備にこれだけの所作や精神的な落ち着きが必要なのだと知ることで、弓道の奥深さを実感するようになりました。
正直、用語も多いし、動きも難しいし、想像していたよりもずっと地味で厳しい世界。
でもそのぶん、「ついに自分がこの世界に足を踏み入れたんだ」という満足感は、想像以上に大きかったのです。
初心者教室での経験は、まさに私にとって弓道の入り口。
まだ矢を的に向かって放つところまではたどり着けなかったけれど、「これからもっと深く関わっていきたい」と思わせてくれる、貴重な第一歩になりました。
4. 教室を終えて、弓道を続けるという選択
全10回の初心者教室が終わる頃、私は少し名残惜しい気持ちでいました。
巻藁での練習もやっと慣れてきた頃で、正直、まだまだ「弓道がわかる」とはとても言えない状態。
それでも、少しずつ所作が形になり、身体が覚えてきた実感が出てくると、稽古が楽しくて仕方なくなってきていました。
そして迎えた最終回。
ついに私たちは、的前(まとまえ)に立つ機会をもらいました。
巻藁とは違い、遠くに据えられた的に向かって立つあの静かな空間。
張り詰めた空気の中、いつも通りに体配を行い、弓を構え、矢をつがえる——
その瞬間、心がふるえるような高揚感がありました。
矢が放たれ、的に向かって飛んでいく。
それだけのことなのに、一手を引いたあの一瞬の体験は、今も忘れられません。
たとえ的に当たらなくても、「自分の矢が飛んだ」その感覚が、すべてを満たしてくれたように思います。
この経験が、私の中にしっかりと「もっと弓道を続けてみたい」という気持ちを芽生えさせました。
ありがたいことに、この初心者教室を主催していた道場では、教室終了後も希望すればそのまま一般の団体稽古に参加できる制度があります。
私も迷わず申し込み、今では週に一度、道場に通うようになりました。
一般の稽古では、引き続き体配や巻藁射を丁寧に繰り返しながら、少しずつ的前での稽古の機会も増えてきました。
的に当たるかどうかよりも、「落ち着いて引けたか」「正しく動けたか」といった基本の積み重ねに価値があるというのが、弓道の魅力です。
あの日、的前に立って矢を放ったあの一手は、私にとって弓道の入口に立った記念すべき一歩でした。
そして今、ようやくその入口の向こうへ、少しずつ足を踏み出し始めています。
5. 弓道を始めて見たいけど。。。と、迷っている方へ
初心者教室の全日程を終えて、今は本当に「始めて良かった」と思っています。
最初の一歩を踏み出すまでは、不安ばかりでした。年齢のこと、自分にできるのかという疑問、そして教室の雰囲気に馴染めるのかという心配……。ですが、そうした不安は回数を重ねるうちに自然と薄れていきました。
最終回、私は初めて「的前」に立ちました。的を目の前にして弓を構えたとき、身体の内側から湧き上がるような緊張感と、これまでの積み重ねが一気に思い出されてきました。そして矢を放った瞬間、たとえ中らなかったとしても、自分が「弓道をしている」という実感が、心を満たしてくれました。
まだまだ私は弓道の入り口に立ったばかりです。これからも学ぶことは山ほどあるでしょう。でも、始めたからこそ見える景色がありました。
静かに自分と向き合う時間。仲間と一緒に稽古に励む楽しさ。失敗しながらも、一歩ずつ進んでいく喜び。
あのとき、「やってみよう」と思った自分に感謝しています。
迷っている方がいたら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
40代からでも、いえ、どんな年齢からでも、弓道は私たちを受け入れてくれます。
講習を受ける前に弓道について少し勉強しておくといいと思います。
私は「写真と動画でよくわかる はじめよう弓道」という本を読んで初心者教室を受講しました。
書籍からQRで動画を見ることができ、より理解が深まる良い本だと思います。
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